岡本 隆明(京都大学 大学院工学研究科 社会基盤工学専攻 助教) 植生流れの乱流構造の遷移・発達過程と組織渦の3次元構造について 河川に繁茂する植生は生物の生息場所を提供するとともに,物理的抵抗として流れと地形形成に影響を与えることが知られており,植生流れの研究は国内外を問わず非常に興味深いトピックスである.これまでの研究から柔軟植生場では大規模渦によって植生が組織的に揺動し,藻波(Monami)現象が発生することが知られている.しかしながら,平坦河床から植生群落に遷移する過程で群落上流端から組織渦スケールが流下方向に変化して,柔軟植生の揺動状態がどのように変化するかについては明らかにされていない.またMonami現象の横断方向位相差についても未解明点が多い.植生揺動によって乱流拡散が大きくなり,植生による水質浄化作用が促進されるため,植生の揺動形態を把握することは河川工学上重要である.そこで本研究では2種類のPTV計測法を用いて,群落内の流下方向位置による藻波現象のスケール変化と横断方向位相差について考察する.特に2色の蛍光粒子を用いたPTV法では複数列の柔軟植生変位の同時計測を行い,Monami現象の横断方向位相差を明らかにすることを試みた.